字音假名遣學習記のまとめ

はじめに

イワマン日記の平成十六年五月十一日から六月十三日に書いたもののまとめです。

極私的な學習方法ですが、他の方の參考にもなると思ふので掲載します。

解り易くする爲に、使はない字は例として擧げない方針です。より詳しくはATOK用字音假名遣單漢字辭書などを參照してください。

最も良い記憶法は、實際に觸れたり使つたりしつつ慣れてしまふことだと思ひます。

字音假名遣の種類

字音假名遣の基本

  1. 「クヮ」は「カ」。
  2. 「ヂ」は「ジ」、「ヅ」は「ズ」。
  3. ワ行の「ヰ、ヱ、ヲ」は「イ、エ、オ」。
  4. 「~フ」は「~ウ」。
  5. 「-iウ」は「-yuウ」。
  6. 「-yaウ」、「-eウ」は「-yoウ」。
  7. 「-aウ」は「-oウ」。

これは、字音假名遣から今の音(表音式假名遣)に改められた時に、どこが變つたかの表です。組合せもある(「蝶(テフ)」なら4と6など)が、單純化すればかうなります。また、字音假名遣を讀むだけならば、この七つの點だけを押へればよいでせう。

氣附いたことのまとめ

入聲(のうち、「~フ」で終るもの)

「~ハ」「~ヒ」「~ヘ」「~ホ」は無い
「相」は「あひ」だが、これは訓讀み。
今の表音式假名遣に對應する入聲の字音は基本的に一つのみ
例へば、「キョウ」なら「ケフ」のみ、「ソウ」なら「サフ」のみ(附録の逆引き字音假名遣を參照)。
同じことだが、拗音(ャュョ)や「クヮ」に「~フ」がつくものは無い。
入聲の音を持つ事は屢々促音化する
例:「合(ガフ)→合體(ガッタイ)」、「十(ジフ)→十階(ジッカイ)」、「甲(カフ)→甲冑(カッチウ)」、「納(ナフ)→納豆(ナットウ)」、「入(ニフ)→入聲(ニッシャウ)」、「法(ハフ)→法度(ハット)」
また、促音化した音が慣用音として定着したものもある。例:「雜(ザフ、ザツ)」、「立(リフ、リツ)」、「執(シフ、シツ)」
但し、「早速」、「早急」などで促音化するが、「早」の音は「サウ」といふ例もある。
「澁(しぶい)」の訓は、字音の「ジフ」からきた
「蝶々」が「てふてふ」なのは有名

入聲の基本語

「ワ行」(「クヮ」も含む)

今の音で「オウ」と「コウ」の音を同時に持つものは、「ワウ」と「クヮウ」
つまり、「黄」と「皇」。「皇」は「王(ワウ)」を含む字。
今の音で「エ」と「カイ」の音を同時に持つものは、「ヱ」と「クヮイ」
回、會(繪)、壞、などがこれに當る。
「まるいもの」はワ行
圍(ヰ)、圓(ヱン)、圜(ヱン)、園(ヱン)、苑(ヱン)、和(ワ、クヮ)、回(クヮイ、ヱ)、丸(グヮン)など
まるかつたり、かこんだり。温(ヲン)などもイメージ的に繫がる。
ひらがな、カタカナのもとの字
「ゐ」は「爲(為)」の行書體から、「ヰ」は「圍(囲)」から、「ゑ」と「ヱ」は「惠(≒慧)」から、とか。
「オ」は基本的にはない。「汚」、「惡」は「ヲ」。
「ヲク」は「屋」のみ、「グヮツ」は「月」のみ、「グヮイ」は「外」のみ。

「ワ行」の基本語

ヂとジ、ヅとズ

「ズ」、「ヅイ」、「ジク」、「ヂャク」、「ヂュク」、「ヂョウ」、「ヂョク」、「ヂャ」、「ヂュ」、「ヂュツ」、「ヂフ」などの音は基本的には無い
例外として、「ズ」には「好事家(カウズカ)」などの場合の「事」、「ヂョク」は「濁」(ダクの音から分る)がある。
「ジツ」は「日」「實」のみ、「ヂツ」は「衵」「昵」のみ。
「ヂョ」は「女」「除」のみ。その他は「ジョ」
「ヂン」は「陣」「塵」のみ。その他は「ジン」
「陣(ヂン)」は元々「陳(チン)」を含む字。
「女」や「尼」は「ダ行」。
「汚泥(ヲデイ)」→「尼(ヂ)」→「昵(ヂツ)」→「忸怩(ヂクヂ)」
「孃」と「娘」は「ヂャウ」。
「ヂュウ」は「重」「住」のみ、「ジウ」は「獸」「柔蹂」のみ。その他、「戎絨從縱充銃」は「ジュウ」。
「重」には「チョウ」の音がある。「住」は、「注」や「駐」で「チュウ」の音がある。
「寺」は「ジ」だが、「持痔峙」の三字のみ例外として「ヂ」。
「持病の痔と對峙」(全部「ヂ」)

「ジャウ」と「ヂャウ」と「ジョウ」と「ゼウ」と「デウ」の區別

ジャウ:情靜・上・常・成城・淨・襄壤攘讓・状奘
ヂャウ:丈杖仗・場・釀孃娘・定錠
(「釀」と「孃」は「ジャウ」でよいといふ説もあり)
漢音「-eイ」→呉音「-yaウ」の法則が適用できるもの
上海(シャンハイ)→上(シャウ、ジャウ)
向(カウ)→尚(シャウ)→常(ジャウ)
ジョウ:繩・乘剩・冗・丞烝蒸
ゼウ:繞蕘遶饒・擾
堯(ゲウ)より
デウ:條

「~イウ」と「~ユウ」

「キウ」と「キュウ」

「ギウ」

「シウ」と「シュウ」

「チウ」と「チュウ」

「ニウ」と「ニュウ」

「ヒウ」と「ビウ」

「リウ」と「リュウ」

「イウ」と「ユウ」

「~ヤウ」と「~ヨウ」と「~エウ」

數から言へば、「~ヤウ」が一番多いが、法則があるのでここは「~ヨウ」を基本とする。

「エイ→ヤウ」の法則

漢音「~エイ」のものは、呉音「~ヤウ」となる
例へば、「經(ケイ)→お經(キャウ)」、「正(セイ)→正月(シャウグヮツ)」など。これは、「積(セキ)→癪(シャク)」、「驛(エキ)→譯(ヤク)」、「逆鱗(ゲキリン)→逆(ギャク)」などとなるのと同じ變化だらう。

「キャウ」と「キョウ」と「ケウ」

「ギャウ」と「ギョウ」と「ゲウ」

「シャウ」と「ショウ」と「セウ」

「チャウ」と「チョウ」と「テウ」

「ニョウ」と「ネウ」

「ヒャウ」と「ヒョウ」と「ヘウ」

「ビャウ」と「ベウ」

「ミャウ」と「メウ」

「リャウ」と「リョウ」と「レウ」

「ヤウ」と「ヨウ」と「エウ」

「~アウ」と「~オウ」

「ウ→オウ」の法則

呉音「~ウ」のものは、漢音「~オウ」となる
例:異口(ク)同音→口(コウ)、區(ク)→歐(オウ)

「カウ」と「コウ」

カフ、クヮウは既に見た。

「ガウ」

「サウ」と「ソウ」

「ザウ」と「ゾウ」

「タウ」と「トウ」

「ダウ」と「ドウ」

「ナウ」と「ノウ」

「ハウ」と「ホウ」

「バウ」と「ボウ」

「マウ」と「モウ」

「ラウ」と「ロウ」

ろう

附録

逆引き字音假名遣

子音のみに關するもの

「カ」と「クヮ」
カ、クヮ
カイ
カイ、クヮイ
カク
カク、クヮク
カン
カン、クヮン
ガ、グヮ
ガイ
ガイ、グヮイ
ガツ
グヮツ
ガン
ガン、グヮン
「ヂ」と「ジ」
ヂ、ジ
ジキ
ジキ、ヂキ
ジク
ヂク、ジク
ジツ
ジツ、ヂツ
ジャク
ジャク、ヂャク
ジョ
ジョ、ヂョ
ジョク
ジョク、ヂョク
ジン
ジン、ヂン
「ヅ」と「ズ」
ズ、ヅ
ズイ
ズイ
ワ行
イ、ヰ
イキ
ヰキ
イク
イク、ヰク
イン
イン、ヰン
エ、ヱ
エイ
エイ、ヱイ
エツ
エツ、ヱツ
エン
エン、ヱン
オ、ヲ
オク
オク、ヲク
オツ
オツ、ヲツ
オン
オン、ヲン

「-yuウ」に關するもの

キュウ
キュウ、キウ、キフ
ギュウ
ギウ
シュウ
シュウ、シウ、シフ
ジュウ
ジュウ、ジウ、ジフ、ヂュウ、ヂウ
チュウ
チュウ、チウ
ニュウ
ニュウ、ニウ、ニフ
ヒュウ
ヒウ
ビュウ
ビウ
ユウ
ユウ、イウ、イフ
リュウ
リュウ、リウ、リフ

「-yoウ」に關するもの

キョウ
キョウ、キャウ、ケウ、ケフ
ギョウ
ギョウ、ギャウ、ゲウ、ゲフ
ショウ
ショウ、シャウ、セウ、セフ
ジョウ
ジョウ、ジャウ、ゼウ、ヂャウ、デウ、デフ
チョウ
チョウ、チャウ、テウ、テフ
ニョウ
ニョウ、ネウ
ヒョウ
ヒョウ、ヒャウ、ヘウ
ビョウ
ビャウ、ベウ
ミョウ
ミャウ、メウ
ヨウ
ヨウ、ヤウ、エウ、エフ
リョウ
リョウ、リャウ、レウ、レフ

「-oウ」に關するもの

オウ
オウ、アウ、アフ、オフ、ワウ、ヲウ
コウ
コウ、カウ、カフ、クヮウ
ガウ
ガウ、ガフ、グヮウ、ゴフ
ソウ
ソウ、サウ、サフ
ゾウ
ゾウ、ザウ、ザフ
トウ
トウ、タウ、タフ
ドウ
ドウ、ダウ
ノウ
ノウ、ナウ、ノフ
ホウ
ホウ、ハウ、ハフ(ホフ)
ボウ
ボウ、バウ、ボフ
モウ
モウ、マウ
ロウ
ロウ、ラウ、ラフ


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